赤緑ステロ。
青白デルバーに対抗する力を持ったメタの一角。

最初に現環境の赤緑ステロを分析した後、M13から加入が期待される新戦力について考えてみたいと思います。

まずは前提となるデッキ構築から。MOのPTQより、津村さんの記事でも紹介されたkbr3さんの赤緑ステロです。
このリストはクリーチャー重視で、感電破を4積みしていたり四肢切断を2枚とっていたりするリストもありますが、今回は結果を残したということでkbr3さんのリストを元にさせていただきます。

土地 24
11 森
1 山
4 銅線の地溝
4 根縛りの岩山
4 ケッシグの狼の地

クリーチャー 24
4 極楽鳥
4 ラノワールのエルフ
4 絡み根の霊
4 国境地帯のレインジャー
4 高原の狩りの達人
1 最後のトロール、スラーン
3 ウルフィーの銀心

呪文 12
4 忌むべき者のかがり火
4 緑の太陽の頂点
2 戦争と平和の剣
2 饗宴と飢餓の剣

サイドボード 15
2 最後のトロール、スラーン
2 士気溢れる徴集兵
2 古えの遺恨
2 焼却
2 押し潰す蔦
2 饗宴と飢餓の剣
1 戦争と平和の剣
2 殴打頭蓋


◯ 強み

絡み根の霊、高原の狩りの達人などのアドを稼ぐカードで序盤~中盤から積極的に攻撃をしかけつつ、ウルフィーの銀心、剣、ケッシグの狼の地、忌むべき者のかがり火などのキラーカードで盤面を決定付けます。
キラーカードはいずれも重いため、マナクリと国境地帯のレインジャーでマナ基盤を確保。ウルフィーの銀心や剣、ケッシグの狼の地はマナクリを戦力に変えるため、通常のデッキに比べ後半のマナクリが腐りにくいという長所があります。
また現在の赤いカードには古えの遺恨、士気溢れる徴集兵、焼却などの特定のデッキにとても相性の良いカードが多く、サイドボードも優秀です。


○ 弱み

どうしてもマナクリに依存した構成であるため、軽量火力に弱いです。はらわた撃ちはその最たるものですが、同型やナヤ相手にもかがり火X=1でアウト。
さらに、緑の太陽の頂点という弱いカードを4積み。これはマナクリを2t目までに出すための必要悪ですが、もってきたマナクリが焼かれるとテンポロス、他のカードを持ってくるならば、そもそも緑の太陽の頂点の枠を必要なクリーチャーに置き換えてしまえばいいのです。柔軟性と1マナ追加を天秤にかけると、私にはデメリットが大きいと感じられます。
さらに飛行持ちが少ないため、空から攻められたり、地上をかためられたりしたときにはピタッと止まります。それを突破するためのキラーカードですが、いずれもそれなりのマナが必要です。さらに剣はプロテクションの色が合わなければ突破には使いづらいです。


○ 環境機会

環境を支配する青白デルバーに対し、絡み根の霊、高原の狩りの達人といったアドをとれるクリーチャーが強いです。青白デルバーは脅威を取り除きながらトラフトや天使で攻めるデッキですが、前述のクリーチャーがアド差を広げられることを防ぎ、ケッシグの狼の地がすべてのクリーチャーを相手にとっての脅威に変えます。
さらにサイド後は焼却、押し潰す蔦、棘投げの蜘蛛などの強力な対策カードを積んでいることが一般的です。
他のビートダウンには忌むべき者のかがり火が試合を決定する強さを持ち、赤緑ケッシグには士気溢れる徴集兵やウルフィーの銀心によるサイズ勝ちで一気に押し込むことができるでしょう。
またサイドに古えの遺恨をとれることは大きな魅力のひとつで、環境のほとんどのデッキにアドをとれるアーティファクト破壊は強力な除去としてあなたの勝利に貢献すること間違いなしです。

○ 環境脅威

青白デルバーのはらわた撃ちはマナクリを確実に除去するため、マナが伸びず負ける原因になりかねません。前述のキーカードがいずれも重いことがその理由で、土地を伸ばすまでにモタモタしているとトラフトに殴りきられてしまうことも多々あります。
また、環境に蔓延する刃の接合者+修復の天使がこのデッキの弱みを着実についてきます。先制攻撃3/3によって地上の突破は困難、相手には修復の天使という航空戦力がいるので、こちらは一方的に殴られる展開になりかねません。これを対処するにはかがり火X=3などが必要であるため、少なくともかがり火の素撃ちで突破するならば7マナが必要ということです。
数は減りますが、ゾンビデッキのファイレクシアの抹消者も困難な相手のひとつです。基本的に緑黒剣か極楽鳥で空から殴るしかなくなってしまうため、そのまま押し負けることも少なくありません。最後の一撃圏内まで相手のライフを削れていれば士気溢れる徴集兵が解答になりえますが、血の芸術家はそれを達成するのに大きな障害として立ちふさがるでしょう。


以上を鑑みれば、赤緑ステロが安定して勝つためには、2つのカードが必要であると言えそうです。

1.マナクリを焼かれても大丈夫、マナカーブを下に寄せるクリーチャー
2.修復の天使に殴り勝てる強力な飛行クリーチャー

もちろん、1.に関しては軽量除去を積むという手段があり、2.に関しても修復の天使をそもそも除去してしまえばいいと言えます。
しかし、ケッシグの狼の地、剣、忌むべき者のかがり火、ウルフィーの銀心といったこのデッキの核となるキラーカードは、いずれも自分がクリーチャーで盤面を固めていることを前提としたカードなので、これらを最大限活用するためにもクリーチャーを主体としたいところです。もっとも、上記のキラーカードのうち剣、忌むべき者のかがり火、ウルフィーの銀心は、どれもトップメタであるデルバー相手に相当数サイドアウトすることになるかもしれません。が、それでも低マナ域でアドがとれる、あるいは殴りにいけるクリーチャーはデルバー相手にとても有効です。


ではさっそく、条件を満たすカードをM13のリストから探してみたいと思います。

1.マナクリを焼かれても大丈夫、マナカーブを下に寄せるクリーチャー

1-1.火打ち蹄の猪
(1)(G) 2/2 (R):火打ち蹄の猪はターン終了時まで速攻を持つ
火打ち蹄の猪は、あなたが山をコントロールしている限り+1/+1の修正を受ける

残念ながら、M13の低マナ(1-3)域にはどうしても使いたいカードがありませんでした。
その中でこの猪は、非常に惜しいスペックを持っています。
はまれば2マナ3/3という嵐血の狂戦士なみのパフォーマンス、さらに最低でもタフネス2があるため、はらわた撃ちでは死にません。
3マナあれば速攻がつけられるので、バウンスに対してもテンポアドを取られづらいという利点があります。

一方サイズからみた弱点は、こいつも刃の接合者で止まり、修復の天使には一方的に殺されてしまうことです。
まあ低マナ域のカードなので、そこまで求めるのはお門違いかもしれません。

もっとも、猪がもっともダメなのは、そのポテンシャルを発揮するのに山が必要であること。
山を確実に持ってくるには国境地帯のレインジャーが必要で、それでは猪を2マナや3マナのクリーチャーとしてカウントできないことが何より残念です。
山を増やせば1t目にマナクリを出せなくなってしまうので、調整も難しそうです。試す価値はあると思いますが。

1-2.エルフの幻想家
(1)(G) 1/1
エルフの幻想家が戦場に出たとき、カードを1枚引く。

再録だったかと思います。アラーラにはいましたよね。

こいつは出た瞬間に仕事をするので、はらわた撃ちやバウンスがまったく怖くない、いいやつです。
カードを引くことは、マナ基盤のタイトなこのデッキの潤滑油になり、キラーカードをいち早く手札に持って来られる、非常にいいやつです。

ただ素のサイズがさすがに小さいので、チャンプブロックしかできないのが残念です。
とくにトラフトを止められないのは致命的で、そのせいで評価を下げています。せめて2/1だったら。
環境にいるタフネス1と言えば、変身前デルバー、不死前絡み根、墓所這い、刃の接合者……現実的にお仕事をするのは、絡み根の不死を討ちとるときくらいでしょうか。
それでもケッシグの加護を受けたり、剣を装備したり、ウルフィーの銀心と結魂すれば一気に立派な戦力になるので、それらを引きこみやすいこいつはワンチャンスあると思います。


他のカードですが、クウィリーオンのドライアドはバウンスにもはらわた撃ちにも弱い、森林群れの狼はファイレクシアの変形者まで考えても厳しい、モグの下働きはデメリット能力がきつすぎるために不採用としました。


2.修復の天使に殴り勝てる強力な飛行クリーチャー

2-1.雷口のヘルカイト
(3)(R)(R) 5/5 飛行、速攻
雷口のヘルカイトが戦場に出たとき、それはあなたの対戦相手がコントロールする飛行をもつ各クリーチャーに、それぞれ1点のダメージを与える。それらをタップする。

こいつは2の条件を見事に満たします。パーフェクトです。

バウンスに強い速攻、ブロッカーを排除する能力、後出しの修復の天使も一方的に撃ちとれるサイズ。
戦場にとどまれば数ターンのうちにゲームを決めるだけの力をもつこのクリーチャーは、赤緑ステロの新たなキラーカードとして候補に挙げられると思います。
地上は他のクリーチャーで固め、空からこいつで殴るだけで圧勝です。

ただ最近、デルバーをはじめいくつかのデッキに四肢切断が採用されるようになったため、それにだけは要注意です。
マナリークには魂の洞窟という明確な解答があることに比すると、四肢切断に対応するのは少っかいです。



さて、ここまでクリーチャーを中心に見てきました。
最後にM13で話題を集めている、あのカードを検討してみましょう。


S.怨恨
(G) エンチャント-オーラ
エンチャントされているクリーチャーは、+2/+0の修正をうけるとともにトランプルを持つ。
怨恨が戦場からいずれかの墓地に置かれたとき、怨恨をオーナーの手札に戻す。


怨恨です。
マナクリーチャーが焼かれても大丈夫、低マナクリーチャーをキラーカードに変えてしまうエンチャント。
再利用可能であるのが極悪ですが、一番の敵はデルバー。なぜならば、はらわた撃ち、蒸気の絡みつきによって、簡単に対処されてしまうからです。
他にも先制攻撃持ちの前には無力なので、絡み根の霊につけられたからと言って必ずしも勝てるわけではありません。

実際怨恨による早期の突破力付与が有効に働くためには、デッキ全体を早い方向にシフト、最速キルターン数の平均を下げるような構成を狙う必要があるでしょう。
たとえば高原の狩りの達人、最後のトロール、スラーンなどのクリーチャーは強いですが遅いですし、ウルフィーの銀心は+4/+4エンチャントとして考えるならば雷口のヘルカイトにその座を譲るかもしれません。
剣でさえも設置+装備に計5マナかかることから、最高のダメージソースであるクリーチャーを一体でも多く展開することのほうが重要かもしれないのです。とくに緑黒剣はダメージレースには干渉しないため、なによりプロテクション(緑)が怨恨と相性最悪なため、思い切ってメイン不採用をすることも十分あり得ます。

その場合、デッキは例えば以下のようになるでしょう。

土地 25
8 森
7 山
4 銅線の地溝
4 根縛りの岩山
2 ケッシグの狼の地

クリーチャー 27
4 極楽鳥
4 ラノワールのエルフ
4 絡み根の霊
4 国境地帯のレインジャー
4 火打ち蹄の猪
4 地獄乗り
3 雷口のヘルカイト

呪文 8
2 四肢切断
4 怨恨
2 戦争と平和の剣

これではトップメタのデルバーに対して勝てそうもありません。少し改悪がすぎたかもしれませんね 笑

とにかく私は、現状怨恨を使うことは時期尚早だと考えています。
デルバーがメタから落ちたら、ラブニカで優秀な低マナ域のアタッカーが導入されたら、そのときこそ怨恨を有する高速赤緑ビートの快進撃の始まりです。


え、もし怨恨入りの赤緑ステロが強かったら?


……すみませんでした!
精々頑張ります。

と、言わせてください 笑


それでは長文を読んでいただき、ありがとうございました!
新環境が楽しみです!

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